キングにかける想い　（2006年11月19日） - NPO法人ザ・エンターテインメント・ディベートBURNING MIND 専属コラムニスト・ひろ☆たかさわのディベートちょっといい話

こんばんわ

早速前回の続きのお話をするわね

BM ディベートキング選手権試合
奥山VS久保田という、
ライバルでもあり因縁の対決でもあった。
「名勝負数え唄」といわれ、
数々の激闘を繰り広げてきた。
プロレスリング・ノアでの
「三沢VS小橋」の代理戦争であるという
業界関係者もいるのよ

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調整がうまくいかなかった奥山に対し、
久保田も万全ではなかった。
あわや入院かとおもわれるほどの体調不良を訴え、
スパーリング参加を見送った。
しかし、奥山にはどうしても負けたくない、
BM ディベートキングの冠位を
もう一度自分のもとへ手繰り寄せたいという彼の想いが、
驚異の回復につながった
さらに、彼はBM ディベートマニアで太田龍樹の無敗神話を止めてはならないという、
無限大のプレッシャーがあった。
苦しい胸のうちは、奥山と同じ。
本番まで必死の思いだった。

11月11日は、雨だった。今回は夜の開催。
7時半過ぎから、奥山VS久保田の試合が行われる予定であった。
奥山はある決意をもっていた。
自分を変える、
このひとつのことをかならず実行する。

挑戦者久保田、BM ディベートキング奥山の順番に入場する。
会場の観客席からは、
二人の背中が何かを語っているようで、
この時点で涙がこみ上げてきたという一部の狂信派がいた。

試合前におこなわれたサイド決定、
論題は「人は、見かけ・ココロ　どちらで判断すべきなのか？」
選択権を勝ち得た奥山は、
右手でVサインをつくり目元にもっていき
「見かけ」でお願いします！　と満面の笑みで応えたのよ。
ちょうど、品川祐（しながわひろし・2006年11月にTBSで太田龍樹と共演）

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の芸風をパクったとも思えるけど、
会場をつかむための渾身の芸だった。
あのポスターから伺える、
東南アジア系のボクサーの形相ではなかった。

そして、オープニングスピーチでも、
過去のBM史上でも例がない
小指をたてて、怪しい宗教家のような喋りではじまる。
「きょうは、皆様の幸せのためにここにたっています」
小指立て芸は5秒ほどで終わったが、
その満面の笑みは、なにか自分の殻を打ち破ろうとする姿があった。
このシーンについては、
実況を務めたバーニングスポーツの中西ナツオ氏も
「度肝を抜かれた」とコメントしている

一方の久保田は、
いつもどおりの冷静な語り口での反対尋問。
ペースをつかんだと見ると、
立論の冒頭で「この勝負はいただきます！」
と挑発発言をさらりといってのける。
結婚にはこだわりを持つ。ココロの重要性を訴える。

そして、最近の奥山VS久保田では名物パターンとなった、
最終弁論での自分の体験談。
今回は久保田が使った。
「入社間もないときの会社での飲み会、
自分は女性から見た目で判断されてショックを受けた。」
ファンにはたまらないシーンね。

一方で、奥山も
見かけから発信される情報の重要性を語る。
なにか吹っ切れたように、
滑らかな語る口にも思えた
かつての太田龍樹に続くナンバー２を守り続けた時代があり、
そして、いま久保田との熾烈なBM ディベートキングをかけての闘いがある。
歴史がこの試合を引き立たせ、
二人のキャラクターが、うまくかみあった国立の舞台であった。

結果、奥山が勝利した。
BM ディベートキングの初防衛。
３票差の薄氷の勝利、
ガッツポーズのあと胸をなでおろす彼の姿があった。
デットヒート（勢力均衡）が一番面白い
（太田龍樹著　「説得する技術」より）